脳卒中体験記・・・6

その夜はクリスマスだということで、ショートケーキがデザートにつき、クリスマスカードには“早くよくなって下さい!”と書いてあります。
そして妻や朋子もやってきました。なにもやってやれない、やってもらうばかりのクリスマスは僕にはいつもよりずっと神聖なものに思われました。
 今まで自分のため以外には、たぶん何もしてきていないのに、誰もかれもがみんな親切で、自分では感謝することのほかなにもできません。
 感謝するだけしか自分に出来なく、そして本当に感謝した時何とも言えない生かされている、という実感が込み上げてまいります。そして急にすべてのものに感謝する気になったものでした。
 (それなのに、今、現在あれから3年になりますが、少しよくなって、又不平不満でお腹はいっぱい、情けない限です。)
冬休みに入ってからは、朋子が毎日来てくれます。おばあさんと違ってまるで気が利きませんが、少しずつなにかできるようになった僕には、そのほうが有り難く感じられました。

12月29日で通常営業は終了、すこし元気な患者さんは、お正月を家で迎えるため一時帰宅、病院内は閑散としてしまいました。
この病室では隣の山田さんは帰りますが、あとは皆ここでお正月を迎えます。
前が加藤さん、熱があるようでとても苦しそう。その隣の串田さんは老人ホームから来た人で、注文が多く看護婦さん泣かせ、入り口の森田さんは脳梗塞二度目の入院だとかで自信喪失、まるで元気がありません。

正月
 正月だというのに、朋子に何もしてやれなくて、親の侘しさ、すまないと思いつつ新年を迎えることになりました。
 ベッドの上に座っていることの多くなったこの頃では、身動きできない寝姿とは大違いです。寝相の悪い僕には寝てばかりは苦痛、腰が痛くなりますから、腰に座布団を入れてもらったり、とってもらったりしていたのですが、その必要もなくなりました。
 リハビリも29日を最後に、次は1月4日になりました。
そして一日はラジオとまんがに、かわりました。何時間寝てもいいという状態では、あまり寝るのが好きでない僕には、とくに睡眠が不規則になり、夜中の1時、2時にも目をさましています。
看護婦さんが心配して「睡眠剤をだしましょうか?」などと言ってくれますが、食後きまって寝ているのですから夜眠れないはずです。
 ベッド自体を起こす伏すに動かして伏す起きるをしていましたが、 ベッドに自分で倒れて寝ることぐらい出来るのではと思い、起きたときベッドを伏すにしてもらい挑戦しました。
ところがこれがとても恐ろしいことなのです。1メートル足らずの高さにある頭を床まで下ろすことが出来ません。ゆっくりではなく“どん”と落ちる、としか思えないのです。ほんの1メートルもないのに、ゆっくり倒れることが出来そうにありません。手すりにしがみついて倒れました。
考えて足元にひもをつけてもらい、それに身をまかせて倒れます。それは起き上がるのにも使え、そのひもを引いて自分で起き上がれるようになりました。 
 起き上がっても、やっぱり寝ていようなどということはよく思うことですが、なんとなくやってもらうのは、悪いような気がして遠慮していましたから、自分で好きなときに起き上がれると、驚くほど色々な事ができるようになります。それに目線が高くなると見える景色も変わりました。まあ芋虫から尺取虫になったという感じです。
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by takaryuu_spring | 2007-02-02 20:52


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