うさぎ
みどりが森は、みんな仲良く、とってもうまくいっている森でした。 ねずみやふくろう、うさぎやきつねさえ仲がいいというわけではありませんが、うらみになんか思うこともなく何の不満もなくすごしていました。 それは少しへんではないかって? ねずみやうさぎはふくろうや、きつねに食べられてしまうんですものねえ。 それは、必死に逃げ回ります。でも食べられてもうらみっこなしとみんな心にきめているのです。 だって、自分たちには、どんぐりとか、野いちごやおいしいわらびなんかが、食べられるのにふくろうや、きつねにはそんなもの食べられない体にうまれっついているのですから、かえってかわいそうだ、と思うくらいでした。 でもいったいいつからこんなふうに自分を食べてしまう者までにくいと思はなくなったか、というとこの森にのこっているう「さぎが月いるわけ」というおはなしを、みんなが信じているからなのです。 今日は、そのお話をしてみようと思います。 むかしからこの森は、皆仲の良い森だったのです、森の仲間たちは、いつも人に喜んでもらえる競争をしていました。 ぼくの学校でも「一日一善運動」と言って「一日に一つは、人のためになるようなことをしよう」という運動を時々やっていました。 それと同じようなことをこの森でもやっていたのです。そして、一日が終わるとなかの良い者どうし集まって、今日した良い行いを話すのが楽しみでした。 真っ赤だった森の木々の葉もちりはじめ、秋もおわりに近ずきました。 森には、食物も少なくなり、夜になるとうんと冷え込みます。 りすは、もうとっくに冬の為にくりや、くるみや、どんぐり、をたくわえていましたし、さるはだれにもとれないところにある木の実や木の芽の場所をおぼえしていました。 くまは、鮭なんかをたらふく食べて体に栄養をたくわえ、もういつ寒い冬がきても冬眠できる状態になっていました。 野うさぎは、というと、食べるものは木の皮や、草の根を掘ればいいし、雪がふるほど寒くなるころには、暖かい毛皮にかわってしまうし本当に神さまは、よくつってくれたと思うばかりでした。
by takaryuu_spring
| 2006-08-27 19:22
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