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たんぽぽその2

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写真はひまわりですが・・
たんぽぽ

そして最後にとうとう我慢できずには、一番苦手な太陽にきいてみました。「花を見たいのだけれど、どうすれば見られるの?」
たんぽぽという名の雪の精などは「私、花になりたいの、どうすればなれるの?]などと聞きます。
太陽は「君たちだって随分きれいじゃないか」「それにわしと君たちでは住む世界が違うということは知っているのだろうな」「それに 花になりたいだって! 花は暖かい所が好きなんだよ、それがどんなことを、意味するのか知っているのだろうな、おまえたちの仲間に死ねと、言う事なのだぞ!」と言いました。
「それでも私、真っ白でない、色々な色の者たちが、仲良く暮らせる世界がいい、そして私花になりたい」とたんぽぽという名の雪の精は、大の苦手の太陽の神様に必死になって言いました。
太陽は、どうしても、という彼女に、それでは帰ってみんなとよく相談してからもう一度くるように言いました。
雪の精達は、あきれ、反対しましたが、心のどこかに自分たちもそんな世界を見たいものだと思っていたものですから、「やれるものならやったらいい、ただし、協力なんかはとてもできないけどね」と言いました。
大よろこびのたんぽぽに、太陽は、言いました「お前が生まれる為に、たくさんのお前の仲間が犠牲になるのだ、だけどわしは太陽、本当は昔みたいに、いろいろな生物の仲良く暮らせる世界が好きだからな、・・・それでは、おまえ一人でやれるところまでやってみろ、ものすごく大変なことだぞ! そして、どんなことでも、決っして文句は言わないこと。おまえは・仲間を・裏切ってそういうことを・するのだからな・・・そしてどんなひどい土地でも、あきらめたりしないで花を咲かせるのだ、その花には一つでもいい必ず芽が出る丈夫な種をつけるんだ。そして太陽の光をいっぱい吸い取りそれを地中深くに運び凍った大地を溶かしていくのだ。」と言いました。

雪の精がこんなことをするなんて本当に信じられないことです。
こうしてたんぽぽは太陽から 太陽の様な丸い黄色い元気な花と、太陽の光を大地にしみ込ませる長くて丈夫な根を与えられました。
雪の精だった最初のたんぽぽの種は、フワフワ雪のように飛んでなんとか地面を見つけ、そこで芽を出したのでした。
寒い雪の中にぽっかりあいた陽だまりに落ちたたんぽぽの種は、やがて芽を出し、それでも寒い風をさけるように地面にはりついて風をさけ、一生懸命太陽の光を吸収して育っていきます。
寒さと乾燥に耐えて耐えて、根をどんどん下にのばしやっと花をつけると、そこは少しやわらかく、そして少し暖かく、少し湿った土になりました。
花はやがて種を結び強い風に飛ばされて、てんでんばらばらに飛んで行きました。そして地面をさがして転がったり飛んだりして小さな陽だまりを見付けるのです。
こうして世界中ありとあらゆる所に飛んで行きました。
水分のほとんどない砂漠に、飛んでいった種もそこでなんとかはえようと自分を変え、岩ばかりな所に飛んで来たものもそこに合ったように変化しながら世界中に広がり、氷をとかし、地面の土を耕し、自分もきれいな花を咲かせ、他の植物も生えられるように、そして他の生きものたちも住めるようにと、がんばったのです。
今ではたんぽぽのなかまはとてもたくさんになって世界中で活躍しています。

「これがわたし達たんぽぽ一族に伝わるお話だ」「お前たちも子供が旅立つ前に忘れずにその子達に話しておくれね、これはどんな土地に降りても決してあきらめずに根をはり、花を咲かせ、たとえ一個でも種を付けて送り出せと言うことなのだよ」とたんぽぽ母さんは、話を終わりました。
by takaryuu_spring | 2006-08-17 20:19


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