現在まで、親鸞上人ほど、誤解を受け続けてきた人はいないかも知れません。
僕が、歴史で習った親鸞は、「浄土真宗の開祖であり、浄土真宗とはただ念仏を唱えればどんな悪人でもあの世で浄土に生まれる。人間とは、もともと悪い心を持つもの、それはどうしようもないことなのだ。」とキリスト教の原罪と対比して習ったような気がします。 他力本願についても、ただ念仏を唱えれば何もしなくても阿弥陀様が浄土に救い上げてくれる。つまり自分ではなにもしないでただ念仏すればよい、だから他力というのだ。というように解釈しました。 そして、あの世などには無頓着な僕には、あの世の極楽などあてにしたくもなく、科学の未発達のころの考えなのだろうなあ。くらいに思っていました。 でも歎異抄を少し勉強してみると、そここそが歎異抄のいいたいことだったとはっきり分かります。 親鸞の三大諍論というのがありますが、法然の下で仏教を修行していたとき、他の修行僧と意見を戦わせたところです。 1、信と行とどちらが大事か。念仏を唱えれば救われるのか、阿弥陀仏を信じれば救われるのか。 2、親鸞の念仏は法然先生と同じものだ。念仏は誰の念仏でも同じである。 3、不体不体往生。体が死んで往生するのではなく、往生とは体とは関係のない心の問題なのだ。 ですが、これはどれも親鸞の悟りから出た言葉で、角度をかえて同じことをいっています。 1、信と行とどちらが大事かという問いかけに、380人いた修行僧のうちの親鸞を含む3人だけが「信」をとり、大半は、「行」の方が大事だという意見だったそうです。念仏こそが最高の行、みんな念仏の行者だったということです。親鸞曰く、「行というのは、自分が行うもの、それでは少しも他力などではない。」というのです。 2、「親鸞の念仏も法然先生の念仏も同じだ。」と言ったときは、何たる不遜とそしられるのですが、「親鸞と法然先生とが同じだと言っているのではない、阿弥陀様はただ一人しかおられないと言っているのだ。」といいかえします。 3、不体不体往生については、「死んでから浄土に行けるだって?この世で闇ならあの世でだって闇だろう。今救われたという確信がなければ来世だって闇にちがいない。」といいます。 蓮如は、「後生の大事」というよく言葉を使いますが、後生とは死んだ後のこと、「後生の大事」とは、「死ぬ前にやっておかなくては後悔しますよ。」という意味です。 阿弥陀仏は只一人の存在で、法蔵菩薩が「全ての人を救いとりその最後に自分も仏になる。」という誓願をたててなった如来です。 法蔵菩薩の誓願が真でなければ法蔵菩薩は如来になれない、つまり阿弥陀如来はいないことになります。反対に、阿弥陀如来がいるなら、即僕も浄土にいることになります。 また蓮如は、「弥陀たのむ」という言葉を多用しているようですが、「たのむ」は、「お願いします」という意味ではなく、いわゆるイスラムの「神の思し召しのように。」に近い「自分をまかせます。」と言う意味のようです。 「南無阿弥陀仏」という念仏を他力で唱える時、阿弥陀に掬い(掬うは、誤字ではなくわざとあてました。)摂られている自分がいますから、そのときにはもう自分ではなく阿弥陀になっていて、法蔵菩薩の誓願を自分が思うことになります。 これではなかなか悪いことはやりにくい。 阿弥陀の第18誓願は、阿弥陀のもの、それ以外の47願は「南無阿弥陀仏」と唱える人が心がけなければならないことなのでしょうか。 全ての人を浄土に行かせる船が弥陀の第十八誓願です。この船は全員が南無阿弥陀仏と阿弥陀にまかせて乗り込まなければ出帆しないのです。 ということになります。 正信偈は、帰命無量寿如来 南無不可思議光と始まります。 無量寿如来とは、この大宇宙のことでしょう。不可思議光とは、月や太陽の光には影ができますが、その宇宙の隅々まで陰日なたなくあまねく届く、引力のような力を持った光だという意味だと思います。
by takaryuu_spring
| 2010-01-30 09:27
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