板前修業3

不味かったに違いないというコメントに反応して
ほんの1年にも満たない板前修業が僕の食べものに対する見方・方法を変えました。知識は人生を面白くする道具です。
心ここにあらざれば見ても見えず、反対に真剣に取り組めば一瞬に見ないことまで判ります。
僕は植物に結構詳しくて、一目見れば何科の植物かおおよそ言い当てられます。小学校5年生の夏休みの宿題に雑草の押し葉作りに挑戦しまたし。根まで抜いて牧野富三郎の図鑑を調べて作りました。その1ヶ月の経験が今の知識で、それ以上ではありません。
高校2年の時、幾何で0点を取りました。それでオール3がモットーの僕には次に100点をとることが科せられ、必死に勉強しました。100点は取れませんでしたが通知表の3は確保しました。そのとき幾何とは、どこに補助線を置くか、視点を変えてみることだと気付きました。

その頃月給16万円の高給取り、舌も腕も最高だったに違いありません、ただ仕事より遊びの方が好きで、阿吽の呼吸で任せられる人がいたから店にいなかっただけです。
バイトさんのコメント通り、経営者から仕入れが多すぎると調理師会に苦情が出されました。
調理師は個人で動いている場合と、誰かの傘下で動く場合があるのですが、本丸はこの部長の下で揃って行動していたようです。それに苦言を呈したということは全員の人替えを要求された事で、頭にとってこれ以上の不名誉なことはありません。ですからそんな場合は店をめちゃくちゃに壊してしまうとか、道具や在庫を全部捨ててしまうということをするのだそうで、そんなことはしませんでしたが、普通そういうものだといっていました。
並樹をやっていた頃、信忠閣のある店舗が総入れ替えを要請して、首になる調理師側は協会に手を回して人を都合できなくしてしまいました。その結果店が潰されたことがありました。何にしても人の総入れ替えは労使ともども大変な問題で、お金で済むことではありません。
無駄が無駄ではないのが職人の世界なのです。
つまつくりにしても、みんなで包丁の技を競って作れば、とほうもない量のつまが出来るのですが、遊んでいるわけではありません。もしそうする事が許されるなら、職人にとって最高の環境ということになります。

大根を桂に剥き、10㎝ほどにそろえて横に千に切って水に放ちます。それが普通のつまです。広く帯のように切る事もあります。横に切るのは大根の繊維が縦ですから水をすぐ吸ってしゃきとさせるためです。でもこれは曲がります。つまのことを剣というのですが、ピンと真直ぐな飾り剣を使いたい時には縦に切ります。生姜の千切りは針と言って、剣も針も切るとは言わずを打ってと言います。針は、生姜を薄く削ぎ切り、打つように包丁を斜め前方に下ろすのです。
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by takaryuu_spring | 2006-10-09 23:53


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