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犬その8

名城公園が整備され始めた頃、家の横を流れていた御用水と呼ばれていた小川は地下に埋設され道路にされました。
御用水とはお堀に水を供給する為の運河で、矢田川の流れを水分橋のあたりから本流は黒川お堀に水を供給する方は御用水といったようです。お堀から溢れた水は黒川に戻され、黒川はここより下流は堀川と呼ばれます。黒川沿いには昔は染め物屋が何軒かありその水で反物を曝しいました。
地下鉄工事に伴う湧水の排水で驚くほどきれいになった黒川は昔のようだといいます。今年から堀川の水質向上の為に矢田川の水門を開けることになり堀川もきっときれいになるものと思われます。
御用水は僕の知る以前は巾十メートルほどもあり、堤には土筆やわらびが生え、川にはふな・もろこ・せんぺら・たなご・どじょう・などの他しじみもいて初夏の頃には蛍も飛びかったということです。
僕の小学校の頃から河川工事が段々始まり川幅は狭められ続けてきましたが、まだふな・どじょう・なまず・川えび・などはいました。またザリガニは川にあふれるほどいました。
それが矢板を打つ為に水が止められ生命が途絶え、こんど水を流した時にもただの溝になり、以前からみんなゴミを捨てていたのでしょうが川には浄化能力がなくなったために「あっ」と言う間にドブ臭い臭いを放つドブ川に変身してもうザリガニの姿も見かけなくなってしまいました。
そしてそのドブ川もついに地下に埋設され広い道路に変わりました。
まだ車を持っているのは町内でも家の前のお医者さんと、建設会社の社長と
薬品会社の社長などほんの四五台の頃でしたが、それでも日に何台かはもうもうと砂埃をあげて車が通ります。
ある夕方のこと、いつものようにムクを連れて散歩にと家を出たのですがちょうどこの道に出たところで友達に会い立ち話をしていた時のことです。ムクは我々の方を向いていたのですが、ムクの後からバイクが走ってきてバイクの音にびっくりして飛びのきましした。でも僕が鎖を握っていたものですからそのバイクのちょうど進路で転んでしまい、その上をバイクが走ったのです。幸いあまり大きなバイクではなかったために見た目ではどこにも怪我をしなかったのですが、あまりに突然のことで、それからのムクはエンジンの音が大嫌いになり、エンジン音を聞くと身が竦んで動けなくなってしまうようになりました。
家から名城公園に行く途中に、地下鉄の走っている真上は今片側三車線の立派な道路になっていますが、その頃にあの広さの道が出来たのです。
by takaryuu_spring | 2006-09-07 20:22


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